むし歯の本当の原因、ご存知ですか?
2025年7月7日
むし歯(カリエス)は、食べすぎや歯みがき不足が原因と思われがちですが、実はもっと深く、複雑な要因が関係しています。むし歯は「感染症」であり、細菌・糖・歯・時間の4つの要素が重なって発症する“多因子疾患”です。
むし歯の原因となる細菌は、主に「ミュータンス菌」です。この菌は糖を取り込んで酸を作り、その酸が歯の表面のエナメル質を溶かします。これがむし歯のはじまりです。
ただし、ミュータンス菌がいても、必ずむし歯になるわけではありません。ここで関わってくるのが「唾液の力」や「歯の質」、そして「間食の頻度」や「生活習慣」です。
実際、むし歯になりやすい人は、生まれつき歯の質が弱い方や、唾液の量が少ない方に多い傾向があります。また、ダラダラ食べを続けてしまうと、口の中が常に酸性に傾き、歯が溶けやすい環境が続いてしまいます。
特に小さなお子さんの場合、乳歯は永久歯に比べてエナメル質が薄く、酸に対して弱いため、むし歯の進行も早くなります。さらに「感染の窓」と呼ばれる時期(おおよそ1歳半~2歳半)は、むし歯菌が口の中に定着しやすく、保護者の口からの感染がリスクになります。
こうした背景から、当院では「カリエスリスク評価」を大切にしています。単にむし歯の治療をするのではなく、「なぜその方がむし歯になったのか」をしっかり分析し、生活背景や食習慣まで踏み込んでお話ししています。
また、唾液検査を用いた予防プログラムも導入しています。ご自身のリスクを“見える化”することで、むし歯を未然に防ぐことが可能になります。
むし歯は、削って詰めて終わりではありません。再発を防ぐためには、原因を正しく理解し、その方に合った予防を継続していくことが大切です。
フロカワ歯科医院では、補綴歯科学会専門医としての知見を活かし、再発を防ぐ精密な治療と、その後の予防まで一貫してサポートしています。
お子さんも大人の方も、ご自身のリスクを知るところから一緒に始めてみませんか?
フロカワ歯科医院 副院長
日本補綴歯科学会 専門医 風呂川 聡